あのころ…
「僕…」
「ほら、早く行くぞ。遅刻してもしらねぇぞ」
 高峰がニッと笑っている。
「うん」
 僕は高峰について走った。
僕に気を使ってるのかな…?
 高峰…ゴメンな。
 ホント…ゴメンな…。

 高校着

「はぁ…はぁ…ちょ…待てよ…」
 高峰がぜえぜえ言っている。
「んだよ。もうくたばったのかよ?」
「ちげぇよ…。いや…そうか」
 息切れして何を言っているか分からない。
「松本…速いな」
「そうか? おまえが体力ないだけだろ?」
「失礼な…」
 高峰は後ろでトボトボ歩いている。
「あっ! 健ーっ!」
 前方から聞きなれた声が聞こえる。
 あれは…
 優璃だ。
「もう着いたんだぁ! なんで走ってんの?」
「は? だって交通手段が他に…」
「バス、バス~☆」
「…」
 僕は黙りこむ。
 悔しい…。
 そんなモンが、このご時世にあったとはな。
「ノーマネーだよ! 節約、節約~」
 …僕の必死の言い訳。
「ま、好きにすれば?」
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