あのころ…
 優璃にさらりと言われる。
 高峰にポンと背中を叩かれた。
「ドンマイ」
 そして、高峰に小さくいわれた。
「うるせぇ」
 僕は小さく言って、高峰の足をこっそり踏む。
 僕は翔太と優璃と高峰と校舎まで歩いていたら、高峰の足が止まった。
「高峰?」
「松本、あれ」
 高峰の指さす先には、バスケ部の朝練風景が広がっていた。
「俺らも…もうじき…」
 高峰が妄想にひたっている。
 ここのバスケ部は、そんなに強いとは聞かない。
 でも、でかい人が多いな。高峰みたいなのとか、それ以上ばっかり。
「なぁ、松本。俺らも…」
「僕は、ムリかもしれない」
「え?」
 高峰が目を丸くする。
「僕、チビだからさ」
「へ?」
「レギュラーどころか、入部もできないよ」
 僕はバスケ部から目をそらす。
「あきらめんなよ」
「え?」
「なんであきらめちゃうんだよ」
「だって…」
 僕は黙りこむ。
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