あのころ…
 僕は見上げるくらいの身長の不良を睨む。
「ぜひ、わが軽音部へ!」
「ぜひ、わがストリートダンス部へ!」
「ぜひ、わが文芸部へ!」
「ぜひ、わがマンガ研究部へ!」
「ぜひ、わがシネマ研究部へ!」
 不良たちが一斉に言った。
「へ…?」
 僕は腰を抜かす。
 ちょっと、予想外の展開?
「あ、てめぇ! マツケンは軽音部だよ!」
「アホか! ストリートダンス部だ!」
 不良たちがギャアギャア騒いでいる。
「…あのぅ…」
「はい! 決まったか! 松本健!」
「えっ…僕…バスケ部志望です…」
 図書室が凍った。
「あっ…運動部と文化部…1つずつならかけもちできるんで…」
 僕は焦って言葉を探す。
「マツケンはシネ研じゃなぁい?」
 僕の後ろから聞きなれない女の声がした。
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