あのころ…
 そうだ、言い忘れていた。
 僕は、高峰の察し通り、優璃が好きだ。
 幼稚園のころから、大好きだった。
 でも、小学校1年の頃、衝撃の事実を耳にしてしまった。
 優璃が「アタシね、翔太が好きなんだ。健にだけ言うねっ」って…。
 僕はその日から、優璃に僕の気持ちがばれないように…と努力した。優璃を困らせたくなかった。僕が好きだっていうだけで、優璃が涙を流して、僕が壊れちゃうような気がしていた。いまだってそうだ。
 翔太はどうだか知らない。教えてくれないけど、僕が知ってて翔太の身近な人っていってたから、優璃だろう。ふたりは両想いなんだろう。だから、僕の気持は邪魔なんだ。
 
 今までなんとか維持していたこの関係が、崩れようとしているなんて、あの頃の僕らには思いもかけなかった。
 僕の想い、優璃の想い、翔太の想い…すべてが交差しようとしていたんだ。
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