あのころ…
 首が痛い…。高峰に襟首をひっぱられて、駅前のカラオケまで連れてこられた。
「松本、座っとくだけでいいから、逃げんなよ」
「心配しなくても逃げねぇよ」
 おまえが怖いからな。
 僕は女の子が来るまで、カラオケの個室のソファーにふんぞりかえっていた。
 高峰と、あと…たぶん同じ学校の川口と山本と坂本。みんな、そこそこかっこいい。
 僕以外は、背筋を伸ばして座っている。僕は構わず、寝ころぶ。
「こんにちはー」
 僕らのいる個室に女の子が5人入ってきた。
「あっ、こんにちはっ」
 僕以外は大きな声でごあいさつ。
「じゃあ、自己紹介しまーす」
 やさしそうなショートカットの、女の子が手を挙げて言った。
「えっと、川添高校1年の結城美佳でーす」
 この、やさしそうなショートカットが、結城美佳。
「同じく、川添高校1年の、井上奈々でっす!」
 で、この、元気なのが、井上奈々。
「笹神高校1年の、安藤優菜です」
 んで? このおとなしそうなのが、安藤優菜。
「右に同じく笹神高校1年の、原田舞でぇすっ」
 でで? このぶりっこが、原田舞。
「柳田高校1年の、宮越優璃…です」
 で、こいつが、柳田高校1年の宮越…。
「優璃?!」
「たっ…健っ!」
 柳田高校1年の宮越優璃って、僕の幼なじみの宮越優璃だよ!
「じゃあ、こっちも。柳田高校1年の高峰翔」
 高峰は僕の反応を見て、にやりと笑い、自己紹介を始める。
「同じく、柳田高校1年の山本啓太です」
「こっちも同じく、柳田高校1年の坂本陽介でっす」
「またまた同じく、柳田高校1年の川口弘樹でーすっ」
「あっ…、えっと…やっ、柳田高校…いっ1年の松本健です…」
 僕は自己紹介が回ってきていたことに気付かず、かみまくる。

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