R -gray*dearest-
それから“タカハシ”は、
ヤンキー達が繰り出すパンチやキックを
ヒラリヒラリとかわし、
渾身の一撃で相手を倒していく。
まさに、
『蝶の様に舞い、蜂の様に刺す』
という言葉がピッタリだった。
数十人もの数のヤンキー達を相手に、
同等の強さ。
尋常ではない。
そして、
彼らをものの数分で片付けてしまった。
残るは、
ヤンキー達のアタマだと思われる、
加藤という男一人だけだった。
「お、おい!お前ら!!
何やってんだよ!?」
ただ一人無傷の加藤が、
痛みと怯えでうずくまるヤンキー達に怒鳴り散らす。
「ちっくしょーっ!!」
加藤はそう叫んで、
ナイフを取り出した。