R -gray*dearest-
ザクッ!!ビィィィィイン…
『おおぉう!?』
宙を舞ったナイフが、
秀の顔のすぐ横に刺さった。
ナイフは細かな振動を続けている。
秀は、争っていた二人に視線を向けた。
“タカハシ”は服についた埃を手で払っている。
それについで、
加藤は先ほどの回し蹴りで2、3mの距離を吹っ飛ばされたらしい。
加藤は完全にのびていた。
決着(ケリ)はついた。
強過ぎ…。
すると突然、“タカハシ”とフッと目が合う。
暗がりでよく顔は見えないけど、
顔立ちはよく整っているのが
わかった。
しばらくの沈黙。
そしてとうとう、
“タカハシ”が秀に話し掛けた。
「おぃ、学生。
とにかくここから出よう。」
秀は無意識にうなずいた。