R -gray*dearest-
突然、
“タカハシ”が立ち止まり
振り返った。
「そういえば大丈夫か?
怪我してないな?」
“タカハシ”が近寄って来て
秀の顔を覗き込む。
−街灯の明かりがついた。
その光は
センター街のビルの窓に反射して、
秀達を照らしだす。
“タカハシ”の顔がはっきりと
あらわになった。
『………美人……。』
秀はまれに見る事しかできない
美女を前にしてリアクションに困る。
大どんでん返しの様な気持ちだった。
「…なぁ、ホントに大丈夫か??」
秀はハッと我に帰る。
つい、“タカハシ”をガン見してしまっていた。
女なのに、
美少年とも言えるような整った顔立ち、
キリッとしたキレ長の澄んだ黒い瞳。
唯一、可愛らしく見えるのは、
前髪をポンパドールにして
留めているところだけだろう。