R -gray*dearest-








1LDKの部屋の中では
秀が行動する音しか響かない。



なんとなくこざっぱりな自室には、

どことなく寂れた空気が漂っていた。





独り暮らしを始めてもう半月。



最初の頃は寂しかったけど
さすがに慣れた。



家事に慣れていなかった時は

皿を10枚ほど割ってしまってしまって
極度に辛かったけど。








秀は着替え終わって、

部屋の端に投げ捨ててある
スクールバッグを拾い上げた。





ムワァ

と白いホコリが舞い上がった。





「そろそろ掃除しなきゃ。」





そう言い残すと、

誰もいない部屋に



「行ってきます。」




と小さく呟いて

扉を開けた。





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