R -gray*dearest-
ヤンキー達は指の関節を鳴らしながら、
秀に1歩、
また1歩
近づいてくる。
「さぁ、大人しく金をよこしな。
さもねぇと…わかるだろ?」
ヤンキーの1人がにやけながら言った。
「歯ぁ何本持ってかれるかわかんねぇぞー?」
後ろにいたヤンキー達も煽り始めた。
やっぱり…
あの事件の…
思わず冷や汗が吹き出す。
秀は、なんとか逃げるスキを探り、
時間を稼ごうと後ずさりをした。
ところが、さがりすぎて後ろの塀に背中がついてしまった。
…マジ!?…
「…じゃ、3秒カウントしてやる。
その間に、あり金全部オレらに渡してくれれば見逃してやるよ。」
その言葉を聞いて、秀は首筋に冷や汗が流れ落ちるのを感じた。
絶対嘘だ。こいつらは逃がしてなんてくれない。