ヒメ恋~Last Love~

それは中学卒業間近の、東京では珍しく雪が降ったものすごく寒い日のことだった。


その日、珍しく両親が家にいた。

オレも会うのは半年ぶりくらい。


夕食後、仕事の話なんかをオレにしながら、久々の家族団欒を楽しんでいた。


あっという間に夜も更け、日付が変わる頃、突然眠気が襲ってきたオレは部屋に戻って寝ることにした。


久々の両親との団欒に満足し、ベッドに入るとすぐに瞼が重くなってきた。




どれくらい時間が経ったのか、いつもは一度寝たら朝まで起きないくせに、その日はなぜか夜中に無性に喉が渇いて目が覚めた。


キッチンに向かうため階段を下りてリビングの前を通り過ぎる時、中で怒鳴り声がするのに気付く。


こんな夜中に?


気になったオレは、リビングの扉の隙間から中を覗いて見た。


声の主はやっぱり両親。

そして何やら険悪な空気が漂っていた。


さっきまであんなに仲良く笑っていたのに、一体何があったんだろう?


不思議に思いながら、二人の会話に聞き耳をたてる。


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