ヒメ恋~Last Love~
そんなオレの疑問もすぐに解決。
そのきっかけは、今まで聞いたこともないような母親の怒鳴り声だった。
「いちいちあなたはうるさいのよ!!私と彼がどんな関係だろうが、あなたに関係ないでしょう!?あなただってあの秘書の子と浮気してるくせに!!仕事仕事と言いながら、外で何してるかなんて分からないわね!?」
「ふん。お前のその気の強さがオレの勘に障るんだ。あの子はお前と違って素直で可愛いよ。いつも甘えてきて、オレがいないと生きていけないとまで言ってる。本当にお前とは真逆だな?」
「なんですって!?親子くらい年が離れてるくせに、そんな若い子があなたなんかに本気になるわけないでしょ!?利用されてるだけよ!!」
「なんだと!?」
オレが聞いているとも知らず、両親はお互いを罵り怒り狂っていた。
あんなに尊敬していた父と、そんな父にいつも笑って寄り添っていた母。
その二人が浮気を……。
信じられないけれど、こんなに剣幕な二人を見るのは初めてで。
信じたくなくとも、認めるしかなかった。
――…これが事実だと。
お互い堂々と浮気を認めているのに離婚しないのは、今ある地位と世間体を守りたい、そういうことだろう。
自分の中で何か塞き止めていたものが、一気に崩れ落ちた気がした。
オレはずっと、両親に裏切られていた。
……そういうことなのか。