ヒメ恋~Last Love~

おかげで、幼い頃から色々なことを我慢する癖がついた。


「お父さんもお母さんも僕のために頑張ってる。お父さんもお母さんも辛いんだ」

そう自分に言い聞かせて。


でもそれは全て偽りだった。


仕事なんかじゃない。

二人とも、オレのことなんてこれっぽっちも考えてなかった。


『オレが邪魔なら、生まなければよかったんだ』


両親に対する不信感が募り、人を信じられなくなった。

実の親でさえ、平気で嘘をつくんだから。


おかげでオレは、高校に入学した頃から適当な人付き合いしかできなくなったんだ。


例えば……女。


昔から言い寄ってくる女はたくさんいたけど、いつも拒んでいた。

それが、言い寄ってくる女と片っ端から身体の関係を持つようになった。


そのことに不思議と罪悪感はなくて。

言い寄ってくる女の中には彼氏持ちのヤツもたくさんいたけど、そんな女たちを両親の姿と重ね合わせながら抱いた。


“愛”なんて幻。


一途な想いなんてこの世に存在しない。


高校一年生にして、そんな冷めた考え方しかできない人間になってしまっていた。


だから気づかなかったんだ。


そんなオレの姿に傷つき、泣き苦しんでいるヒトがいたことに──…


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