ヒメ恋~Last Love~
それは大学の中庭での出来事。



いつものように菜月と中庭のベンチに座って、お互いの近況を報告しあっていた。



「海里さんとはうまくいってるの?」


「うん、海里は毎日マンションに来てくれるし、朝まで一緒にいてくれるの」


今のあたしはきっと、幸せに満ちた表情をしてるに違いない。



「そっか。美海が幸せなら良かったよ」


まるで自分のことのように、嬉しそうにニッコリ微笑む菜月。



菜月は今まで、どれだけあたしを救ってくれたかーーー



海里とこんな関係になるまで、噂を耳にする度泣き崩れていたあたし。



何度も何度も、同じことの繰り返しーー



あたしはいつも泣いてばかりで、



菜月にすがった。



いつまでもいつまでも、


泣くことしかできず、




本当ならとっくに見捨てられていても不思議じゃない。


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