ヒメ恋~Last Love~

「はは。誘惑?まだ美海には早いだろ」


胸がズキンと痛む。

海里にとってあたしは女としての魅力がないって言われたような気がして……。


「ひどい!!あたしだってもう17だよ!?いつまでも小さな子供じゃないんだから!!」


涙目になりながら思わず叫んでしまったのは、悔しさと悲しさが溢れ出してしまったから。


「ごめん美海。冗談のつもりだったんだよ」


海里が慌ててあたしを抱きしめ、髪を撫でながら謝る。

抱きしめられて、あたしは余計に涙が止まらなくなる。


こんな時でないと、海里はあたしを抱きしめてはくれない。


あたしが泣いた時だけ、いつもこうして抱きしめてくれる。

あたしの涙が止まるまで、ずっと優しい手で髪を撫でてくれる。


海里があたしを大切にしてくれてるのは分かってるよ。


でもこうして泣かない限り、海里があたしを抱きしめることはないから。

海里にとってあたしは女じゃないから。


あたしはギュッと海里の背中に手を回した。


いつか……


いつか当たり前のように、海里に抱きしめてもらえる日が来てほしい。


海里が抱きしめてくれるなら、あたしは他に何もいらない──…


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