ヒメ恋~Last Love~
泣いて…泣いて…泣いて・・・


あたしはまるで小さな子供のように、声をあげて泣きじゃくった。
その声は悲鳴のようで…いくら泣き叫んでも、まだ足らなかった。


その間も、母はあたしを抱いたまま、優しく髪を撫でてくれた。
でもその行為が…海里と重なって余計に涙を誘った。


あたしの幸せを心から願ってくれている母の前で、叶わない恋を嘆き、辛く苦しい気持ちを曝け出してしまった。


お母様…ごめんなさい…ごめんなさいーー。

泣かせてごめんなさい。

あたしのせいで…今涙しているのでしょう?

震える体が真実を物語っているーー。

あたしに気づかれないように、必死に声を殺しているのでしょう?

辛い恋しか選べなかったあたしを…許してね・・・。



この日あたしは、マンションには戻らず、実家に泊まった。


海里との別れを予感し、海里のためにオシャレしたのに…

真実を聞いた途端、その決意が揺らいだ。


あたしは何て弱い人間なんだろうーー。

あたしたちの別離はもう決定的なもの。

次に海里に会った時がきっと最後。


あたしはその終わりを…ただ引き延ばそうと逃げているだけ。

今更もう…何もかもが手遅れなのにーー。


あたしがどんなに逃げたところで、別れの瞬間は刻一刻と迫っていたーー。






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