ヒメ恋~Last Love~

あたしを腕に抱き、隣で寝息を立てている海里の顔を見ながら、あたしたちがいつからこんな関係になったのか思い出していた。



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あたしと海里は家が隣同士で、小さい時からいつも一緒に育ってきた。

いわゆる『幼なじみ』という間柄。


海里の両親は大企業の社長で、世界中にホテルやレストランを展開している。

どれも高級感に溢れ、あのミシュランガイドで『三ツ星』を獲得しているものばかり。


世界的に有名な一條財閥。それが海里の生まれた家。

海里は御曹司であり、大学を卒業した今ではグループ企業の社長を任されている。


小さい頃から、海里の両親は仕事の都合で海外に行くことが多く、いつも海里は我が家に預けられていた。

一年の大半はあたしの家で一緒に過ごしていた気がする。


だから、あたしたちはまるで本当の兄妹のように過ごしてきて、どんな時も一緒だった。

あたしの両親も息子が欲しかったらしく、海里のことを本当の息子のように可愛がっていた。

それは今も変わっていない。


あたしの両親は、化粧品業界の世界トップ企業の社長として名を馳せている。

たくさんのブランドを展開しているけど、最も世界に愛されてるコスメブランドが『MiU』。


――そう、あたしの名前。


あたしが生まれた時、両親が記念にと立ち上げたブランドが、今や世界中に愛されているトップブランドにまで成長した。


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