ヒメ恋~Last Love~
海里は高校の時から雑誌の読者モデルをしていて、そのルックスから芸能人並みの人気があった。
学校にはいつも他校の女子生徒が詰めかけてきてて、先生は校門からの侵入を防ぐのにすごく苦労していた。
当の本人は教室から手を振って愛想を振りまいていたらしいけど……。
校内でも、いつも海里の周りには取り巻きの女の子たちがいて、みんな綺麗で可愛い子ばかりだった。
いつも一緒にいるあたしの存在が目障りなのか、入学したての頃はよく先輩に呼び出されたりしてたけど、そのうち呼ばれることもなくなって。
逆にあたしに取り入ろうとするようになった。
理由は…、海里が取り巻きの子たちに言ったから。
「美海はオレの大事な妹だから。傷つけたら許さないよ。オレのことが好きなら、妹のことも可愛がってくれないとね」
ニッコリ微笑みながら、あたしの目の前でそう言ったの。
悲しくて……
切なくて……
苦しくて……
その時、歯を食い縛って涙がこぼれ落ちるのを我慢した。
『妹』
それはすごく海里に近くて、すごくすごく遠い存在でもある。
大切にしてくれるのは、あたしが女だからじゃない。
身内だから。
……妹だから。
この日帰宅した後、朝までずっと涙が止まらなかった。
人間って、こんなに泣けるんだ…って驚くくらい泣きはらしてしまった。