ヒメ恋~Last Love~

「……」


海里が俯き、その隙間から少し険しい表情が見えた。

……海里、困ってる。


やっぱりあたしの一方通行な想いなんて、迷惑でしかないんだ……。


「海里……?」


男に泣いてすがるような女にだけはなりたくないって思ってた。

そんなみっともない真似だけはぜったい一生したくないって。


だけど違った。

こういう場合、頭で考えるからじゃなくて、心が勝手に涙を誘うんだ。



「美海はオレにとって、他の誰よりも大切な……特別な存在だよ。……これからもそれは変わらない」


“特別”


そう言ってくれた海里だけど、やっぱりあたしの方は見てくれない。


お願い海里。

ちゃんとあたしを見て。


目を逸らさないで。



「ちゃんとあたしを見て?」


< 70 / 300 >

この作品をシェア

pagetop