ヒメ恋~Last Love~
「あたしはこのままの関係を続ける方が、一番苦しい。例え海里に何人恋人がいても、あたしを“女”として扱ってくれるなら……それだけであたしは幸せだよ」
海里の側で“女”としての幸せを感じたい。
「……今よりもっと辛い思いをするかもしれない。それでもいいのか?」
「辛いなんて思わない」
今度は海里が、あたしの頬に手を伸ばす。
「傷ついても、知らないぞ?」
「海里になら、傷つけられてもいい」
そう言うと、海里が切なそうに少し微笑んだ。
「美海……好きだよ」
海里との距離がゆっくりと縮まり、あたしたちは初めてのキスをした。
優しい触れるだけのキス。
あたしのファーストキスの思い出は、とても切ない涙の味。
もうあたしたち、
二度と元には戻れない。
この時あたしは、海里が受け入れてくれたことへの喜びで満たされていて。
この選択が、本当の“別れ”への引き金になってしまうなんて、
想像すらできなかった。