ヒメ恋~Last Love~

怒りが爆発しそうだった。


「どうしてほしいの?」


答えは分かっているけれど、理奈相手じゃあ他の会話が見つからない。


「抱いてほしい」


ほらな。

予想通りの答えだ。


「オレ、未成年に手を出す趣味はないから無理だよ。理奈もお嬢様なんだから、出会って間もない男に気安く“抱いて”なんて言うもんじゃない。自分の価値が下がるだけだぞ?」


精一杯の“優しさ”を込めた言葉を、理奈はスッカリ真に受けて、

「違うもん!海里だから抱いてほしいの!好きだから、海里のこと」

必死な顔で訴えかけてくる。


……面倒くさい女はキライだ。


「大人になったら考えてあげるよ。だからもう帰りな?」


精一杯、紳士を演じた。


でも理奈はまだ納得いかないようで、動こうとしない。


これだからガキは……。


理奈に聞こえないように顔を逸らしてため息をつくと、

「じゃあキスしてくれたら今日は帰る」

と、女王様みたいに命令してくる。


まだ数えるほどしか会っていないオレに、もうこの態度。


どうやら本当に厄介な女のようだ。


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