Hand in Hand
電車から降りてきた人とすれ違う。



ゆっくり階段をのぼる私の隣りをスーツ姿の女性が駆けていく。


そして


ホームが少しずつ見えてきた時、



あの大きなローファーが見えた。



ローファーだけで分かるって私どれだけ好きなんだろう。




周りの人が感じてる速度よりずっとゆっくり


この時間を感じていた。

もう一歩階段を上がる。


間宮君の前に並んでいる人達が次々と、電車に乗り込んでいく。




でも



間宮君は動かなかった。


その代わりに


ホームの時計をちらっと見てから



階段の方

私の方を向いた。
< 32 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop