たったひとことの遠回り
「今夜、予定ある?」
友紀は右手を所在無さげに自分の髪の毛に触れさせ、あくまで自然に尋ねる、という課題をほぼ満点でクリアしたように順之助へとクエスチョンを放った。
「いや、全然ないですけど……」
例え何か約束があっても即、ボイコットのごみ箱へと投げ捨てただろう。だけど問題がある。唯一であり、最大の問題。場合によっては法にだって触れる。

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