先生あのね

「質問ある人」

意外にも先生は叱るでもなく怒鳴るでもなく何事もなかったかのように質問に答えていった


そしてある程度質問が終わったあと

「えーっと…自己紹介します」

唐突にそう切り出した


「えっと…名前は佐伯といいます。年は29で、今は福山市に住んでいます。野球部顧問なんでよろしくお願いします。…質問ある人」



きっともうあの落書きについては触れないのだろう



そう思ったのか、蛍兎はバッと手を上げると

「ヤッたことありますか!」

大きな声でそう聞いた


その質問に先生は苦笑いしている

しかしクラスは爆笑の渦に包まれた


そんな中、友愛だけは腕を組んだまま窓の外を見ていた

そしてそのまま授業は終わり、先生は職員室へ帰っていった



保健は4限目だったのでこれから弁当を食べる

この時間、いつもなら1番テンションの高い友愛が今日はなぜか眉間にしわを寄せている

そんな友愛を見て蛍兎が話しかけた


「…友愛。顔怖いで」

「あいつ…絡みにくい」

「佐伯先生?」

「絶対関わりたくないタイプやし」


友愛はそういうと鞄の中から弁当を出してさっさと食べ始めた


友愛の佐伯先生に対する第一印象は最悪なものだった


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