破 壊
序 章
僕が初めて生き物から命を奪ったのは、五歳の時だったんだ。
相手は隣の家で飼われていた雑種の子犬さ。
前以て断って置くけど、動物は嫌いじゃないよ。犬は特に好きだ。
その子犬も、すごく可愛くて僕にもよく懐いていたんだ。
その日、いつものように子犬と遊んでいてね。
母犬は、僕が子犬とじゃれていても吠えない。
その時、子犬は鎖に繋がれてなかったと思う。
何せ、随分と昔の話だから細かい所迄憶えていないんだ。
気が付いたら、家と家の隙間に子犬を誘い込んでいた。
足下に、捨てられた洗濯紐が一本。
僕はそれを手にしていた。
足下でじゃれる子犬の首にその紐を掛け、ぐるぐる巻きにしてさ。
窓の格子に紐を結ぶと、子犬は宙ぶらりんになり、四本の足をばたつかせ始めたんだ。
妙な鳴き声をしたのを憶えているよ。
首を吊られて苦しみもがいている子犬を僕はじっと見ていたんだ。
口から茶色い汚物のような物が出て来てね、子犬は少しずつ動かなくなって、とうとうぐったりとしたんだ。
突然、隣の家から母犬の吠える声が聞こえてね、そっちの方に目をやると、飼い主のおばさんが僕をじっと見つめててさ。
気味の悪い目付きをしてたな……
相手は隣の家で飼われていた雑種の子犬さ。
前以て断って置くけど、動物は嫌いじゃないよ。犬は特に好きだ。
その子犬も、すごく可愛くて僕にもよく懐いていたんだ。
その日、いつものように子犬と遊んでいてね。
母犬は、僕が子犬とじゃれていても吠えない。
その時、子犬は鎖に繋がれてなかったと思う。
何せ、随分と昔の話だから細かい所迄憶えていないんだ。
気が付いたら、家と家の隙間に子犬を誘い込んでいた。
足下に、捨てられた洗濯紐が一本。
僕はそれを手にしていた。
足下でじゃれる子犬の首にその紐を掛け、ぐるぐる巻きにしてさ。
窓の格子に紐を結ぶと、子犬は宙ぶらりんになり、四本の足をばたつかせ始めたんだ。
妙な鳴き声をしたのを憶えているよ。
首を吊られて苦しみもがいている子犬を僕はじっと見ていたんだ。
口から茶色い汚物のような物が出て来てね、子犬は少しずつ動かなくなって、とうとうぐったりとしたんだ。
突然、隣の家から母犬の吠える声が聞こえてね、そっちの方に目をやると、飼い主のおばさんが僕をじっと見つめててさ。
気味の悪い目付きをしてたな……
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