破   壊
 この前の続きを知りたいんでしょ?

 篠塚先生の事、ちゃんと調べた?

 なら、今から話す事を聞けば、全部本当の事だって判るよ。

 校長を殺して、暫く様子を見てた事は話したよね?

 初め、奴の身体の一部が直ぐ見つかって僕は焦ったんだ。

 それが手掛かりになって、犯人が僕だって判ってしまうんじゃないかってね。

 でも、気付かれなかった。

 警察は無能だね。少しも僕は疑われなくて、全然見当違いな奴らを一生懸命追っ掛けてたみたい。

 滑稽だね。それでも僕は慎重だった。

 前にも話したけど、篠塚先生に迷惑を掛けたくなかったからさ。

 もう大丈夫かなって思ったのは、三年になってから随分経った頃。

 大学進学の件で、相談したい事がありますって、電話をしたんだ。

 最初、手紙にしようかと思ったけど、証拠になるようなものは残したくなかったからね。

 僕が電話をしたら驚いていた。

 そりゃ驚くよね、突然、住んでたアパートに直接掛けたんだもの。

 驚かれはしたけど、篠塚先生は直ぐに僕の相談を真剣に聞いてくれた。

 僕が、一時期心理学に興味を持っていた事まで覚えていてくれてて、そっちの方面に進んでみたらって言ってくれたんだ。

 確かに、心理学は嫌いじゃなかったけど、その頃にはもう興味なんて失くなっててさ、別な事に興味を持ち始めてたんだ。

 何だと思う?

 生理解剖学さ。

 ほら、僕にはそういう経験が既にあった訳じゃない、灯台下暗しという事だったのさ。

 特に、校長をバラバラにした後、余計に興味を持ち始めてね。

 そういう関係の医学書とか、図書館へ行っては読み漁ったよ。

 だから、医者になりたいって言ったんだ。

 それも解剖医にね。

 あっ、解剖医と最初からは言わなかったな。

 女性は、そういうのって、気味悪がるでしょ?

 僕が医者になりたいって言ったら、篠塚先生は、大変だけど貴方ならなれるわよって言ってくれたんだ。

 篠塚先生は、僕の事をちゃんと理解してくれてたんだ……




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