破   壊
 話をそこで終わりにしては、計画がおじゃんになってしまうから、個人的な悩み事も話したんだ。

 これは作り話じゃなく、本当の悩みを打ち明けた。

 どんな事かって?

 それは言えないよ。僕と篠塚先生との秘密だもの。

 まあ、いろいろさ。

 本気で医者になりたかったかって?

 微妙だな。魅力的な仕事だけど、僕の本来の目的とは違うからさ。

 どう違うかって?

 確かに医者になれば、沢山の人間を解剖出来るさ。でもね、それって全部死体なんだよね。

 それじゃ意味無いんだ。死んだ人間は、人形と同じだもの。

 僕がやりたかったのは、生きた人間の解剖なんだ。その事に自分で気付いたのは、偶然なんだけどね。

 校長をバラバラにした時、僕は間抜けにも彼が既に死んでると思ってたんだ。

 ところが、足に鋸を当てて引き始めたら、それまで動かなかった奴が、いきなり目を剥いて喚き出したんだ。

 慌てて奴の口を塞いで、両膝で身体を抑え付け、足を切断して行った。

 あのね、人間て結構しぶといんだ。

 簡単には死なないもんさ。片足を鋸で切り落とした位じゃあの世には行かないんだよ。

 その時さ。生まれてこの方、初めてと言っていい位の興奮を覚えたのは。

 まだ意識がある奴の口に、切り落とした足の先をくっつけて舐めさせたんだ。

 次に鋸を入れたのは、胴体。

 内臓を取り出して奴に見せてやろうと思ってね。

 腸を引っ張り出した時には既に死んじゃった。

 惜しい事をしたと悔やんだ。どうせなら、気絶だけさせて、それで刻んじゃえばよかったってね。

 ん?どうしたの?顔色が余り良くなさそうだけど?

 そうか、先生には刺激が強すぎたね。

 でも大丈夫だよ。僕も最初は、少し具合が悪くなったけど、直ぐに慣れたから。

 今日はこれで話を終わりにしようか?

 篠塚先生の話は、この次に全部話すよ。

 じゃあね。





< 21 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop