破   壊
 次の殺人が母親かって?

 ちょっと待って、話はまだ続くんだからさ。

 母親を殺す前に、僕なりの準備というものがあったんだから。

 ちゃんと、予行練習しなくちゃならないでしょ。

 でも、父親の次に人を殺したのは、偶然だったんだよ。

 計画性もへったくれもなかった。

 全然、美しくなかったもの。

 子犬や父親の時と同じ。

 それ以来、僕は自分に言い聞かせた。

 こういう無駄な殺しは、しないって。

 だってさ、人間が行う行為なんだから、やっぱりそこには何らかの意義を見出だせなければいけないと思うんだ。

 理由なき殺人

 こんなの僕に言わせれば、最低だね。

 やるからには、全ての行為に必然性がなければならないのさ。

 そういう反省をさせてくれたのが、あの子を殺した時なんだ。



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