ひとっ飛び
喫茶『りぴーと』
午前10時。

カバンにレポート用紙とペンケースを詰め込み、僕は家を出た。

日差しが強そうなので、帽子を被っていくことを忘れない。

庭にとめてあった自転車にまたがり、道路に出る。蒸し暑さを含んだ空気が体にまとわりついてきた。

目指すは、喫茶『りぴーと』。僕の高校時代の友人、朝倉哲哉の親がやっている店だ。

もう8月も終わろうとしているのに、この暑さは何だろう?ペダルを漕いでいると、背中にじっとりと汗をかいてしまった。

くだり坂にさしかかり、少し涼しくなる。スーパーのビニール袋を下げた主婦が向こう側から上がってきていた。
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