ひとっ飛び
部活のあと、校舎裏の駐輪場に向かっていると、ポケットの中で携帯電話が振動した。

メールを確認。

朝倉からだった。
本文は一言、

「めいわくかけんなよ」

とあった。

僕は、

「ありがとう。」

と返信した。

自転車の前カゴにカバンを突っ込み、ペダルを踏む足に力を加えながら、僕は朝倉のメールに対する違和感について考えていた。

朝倉は言葉に対して非常に敏感だ。彼の打つメールには、漢字や句読点がきちんと使用されていた。

さっき来たメールは、

「めいわくかけんなよ」

である。

このメールから導出されることは、朝倉は動揺していたということだ。それも、非常に。

何故?

それは、宮原唯のことだろう。

自転車の速度を上げ、校門をくぐった。

町にはネオンが灯り始めた。夜の冷気と排気ガスが一緒になって僕の体を包み込む。

朝倉も、唯のことが好きだったのか。
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