ひとっ飛び
僕と宮原唯と朝倉は、バラバラのクラスだったから、部活以外で話をすることはあまりなかった。たまに朝倉が教科書を借りに来るぐらいである。

軽音楽部でも、僕と唯は今までどおり、『あくまで部活の友達』という関係で見られるように気を遣って行動した。

部活での朝倉と僕の会話は、事務的なものが増えた。これは、僕が彼の気持ちを考慮し、また、彼が僕と唯に対して複雑な感情を抱いていた結果だったといえる。

数年前、この高校で男女交際をしていた女子生徒が、中絶手術を受けるという騒動があった。そのため、生徒指導部は生徒間の交際を厳しく取り締まっていた。

僕と唯は、文字通り『密会』を続けた。
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