ひとっ飛び
テーブルの上で、カフェオレのグラスが汗をかいていた。

朝倉が、二杯目のカフェオレを「おごりだ」と言った気持ち。

…もう、どうでもいいや。

なんとなく気まずい空気になったので、僕は窓の外に視線を転じた。

郵便配達員のバイクがシューっと音を立て、水たまりを弾いていく。

窓の外を、黄色い傘を差した人が歩いていた。

その人物は、「りぴーと」の前で傘を畳んだ。

髪の長さや体型からすると、女の子だろうか?

チリンチリンと音を鳴らしながら、店のドアが開く。

入ってきた人物を見て、僕は「あっ」と間抜けな声をあげた。

紛れもない、そこには宮原唯がいた。
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