ひとっ飛び
ドアを押すと、チリンチリンと涼しげな鈴の音が聴こえた。

正面にはカウンター席があり、茶色いストゥールがズラリと並んでいる。

左手に少しスペースがあり、4人用のテーブルが3台ある。右手の通路をまっすぐいくと、男女兼用のトイレだ。

カウンターの奥には、黒いエプロンを着てグラスを磨いている、朝倉哲哉の姿があった。

朝倉は僕の顔を認めると、グラスを置き、『よっ』と片手をあげた。

軽く会釈し、左奥にあるテーブル席へ歩いた。

ただ雑談するときはカウンター席に座るのだが、今日は書き上げなきゃならないレポートがあったので、テーブル席に向かったのだ。
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