ひとっ飛び
「カフェオレでいいよな?」

朝倉がカウンターの奥から声をかけてきた。僕は小さく頷き、カバンの中からレポート用紙を取り出し、テーブルに広げた。

すぐに朝倉が、お盆の上にカフェオレを2杯載せてやってきた。片手で椅子を引き、僕の前に座る。

「いいのか?親父さんに叱られるんじゃない?」

朝倉はカフェオレの氷をくるくるかき混ぜながら、おもむろにかぶりを振った。カランカランと涼しげな音を立てる。

「親父は出掛けてるんだ。ランチタイムになったら戻ってくるけど。だから、あと1時間は大丈夫だ」

僕はストローでカフェオレを少し飲んだ。適度な苦み、適度な甘み。去年より腕をあげたな、と思いながら、僕は朝倉の顔を見た。
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