【完】イケメン生徒会長は俺様!?
「たく……しゃーねーなぁ。甘えん坊の美綺」



あたしは頬を膨らませた


「怒るなって。可愛い顔が台無しだぞ?」



と誠人は意地悪そうな顔をして言った。



「もういいもんっ!!」


あたしは誠人から離れて歩いた。



誠人はため息をつくと、あたしをグイッと引き寄せた。



……え?なに?



なにが起こった?



あたしは思わず、瞑っていた目を開けた。



目の前には……誠人の顔があった。



え?もしかしてあたし、今キスされてる?



でも気が付くと、既に唇が離れていた。



「あっ、ごめん…」



びっくりしてなにも言えないあたしに、誠人は謝った。



「あっ、ううん。……ちょっとびっくりしただけだから気にしないで!」


あたしは笑顔を向けると、先を歩いた。



恥ずかしいよぉ……あたし今、絶対顔赤いよぉ。


誠人はあたしの隣りに来ると、あたしの左手をしっかり握った。



そして繋いだままの手をそのまま制服のポケットに入れた。



誠人、顔が赤い。



かなり真っ赤だよ。



でも、なんか可愛い。



思わず笑顔が零れた。



でも……笑顔が生徒会長に似てる気がする。



え?……生徒会長?



なんで……生徒会長が出て来るの?



生徒会長はもう、関係ないのに…。



だけど、生徒会長はあたしと別れてから笑わなくなった。



仕事ばっかりであんまりよく眠れてない。



食事もあんまり取らない


心配で心配で仕方ない。


あたしには誠人が居るのに、なぜか頭に浮かんで来るのは生徒会長のことばかり。



ちゃんと食べてるかな?とか、ちゃんと寝てるのかな?とか……無理してないかな?とか、そんな言葉ばかりが浮かんで来る。



生徒会長を忘れようとしてるのに……忘れようと思って誠人と付き合ってるのに、考えるのは生徒会長のことばかりで……だけど、あたし生徒会長のことをまだ想ってて、忘れることが出来ない。


ほんと、情けないなぁ。


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