【完】イケメン生徒会長は俺様!?
美綺はそう言って少し黙り込んだ。



みんなも言葉が出てこないのか、黙っていた。



そして、美綺がまた口を開いた。



「アイツは最低だよ。簡単に人を傷つける。……ろくでもないヤツだよ」


美綺の声はもう怒りにしか聞こえなかった。



俺は美綺のパンチのある低い声に、少しだけ恐怖を感じた。



こんなに怒りを表している美綺は……始めてかもしれない。



「とりあえずみんなに忠告しとくけど、アイツにはむやみに近付かないでね」



美綺はそう言うと、ため息をついて教室のドアを開けた。



みんなも言葉が出てこないようだ。



すると、啓悟がゆっくりと口を開きだした。



「アイツ……そんなにヒドいヤツだったのか」



それにつられて茉衣が言った。



「本当だね……最低だよ。信じられない」



茉衣の言葉にみんなが頷いた。



美綺は教室の壁に寄り掛かると、またゆっくりと口を開いた。



「アイツに近付いたら、大変なことになるから」


……大変なこと?



「大変なことって……なに?」



茉衣が小さく呟いた。



「……大事な人を、奪われる」



美綺は壁に寄り掛かって腕を組むと、小さくそう言った。



「え?……大事な人?」


茉衣がその場に立ったまま言った。



「そっ、大事な人。目茶苦茶にされるよ。……それから、心も体もボロボロにされる。そして最後は粉々に砕け散る」



美綺は低い声でそう言うと、ニヤリと怪しい笑みを浮かべた。



なんか、今の俺には美綺が美綺じゃないような気がした。



美綺が今日、初めて本当に"悪魔"に見えた。



「やだっ……なんか怖い」



茉衣が怯えたように呟いた。



それに続いて美綺が言葉を発した。



「でしょ?アイツは本当にサイテーなヤツ。その人の大事な人を奪うんだから。そして、トコトン人を傷つけては楽しんでる。なにか気に入らないことがあると、女でも男でも何不利構わず暴力を振るうヤツだから」



は?!暴力?!



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