【完】イケメン生徒会長は俺様!?
「今度から……ちゃんと早く戻って来いよな」



「……うん」



「じゃあ座ってろ」



「……うん」



あたしは流二に肩を抱かれながらソファーに向かうと、ソファーにゆっくり腰掛けた。



その間も、ずっと流二は側に居てくれた。



あたしは長い沈黙の後、ゆっくり口を開いた。



「……流二」



「ん?どうした?具合でも悪いのか?」



流二はあたしの顔を覗き込んでそう言った。



「ううん……そうじゃないの」



「え?」



流二は驚いた顔をした。


「あのね?……後で、流二に大事な話があるの」


あたしはそう言うと、流二をジッと見つめた。



「……大事な話?」



流二が呟いた。



「うん……大事な話」



あたしはそう言うと、下を向いた。



「分かった。……じゃあ、みんなが帰った後でいいか?」



「……うん」



あたしは下を向きながら頷いた。



もう……覚悟は出来てるんだ。



嫌われてもいい……別れてくれてもいいから……だから、言わせてください。



神様……お願いです。あたしに、あと少しだけ……少しだけでいいので、力を貸してください。



……あたしに、勇気をください。



と、心の中で祈った。



そしてそれからしばらくして、会場に居たみんながパーティーが終わったと同時に次々に帰って行った。



中には心配してあたしに声を掛けてくれる人も居た。



あたしはニッコリ笑って常に「はい……大丈夫です」って言ってみんなが帰って行くのをソファーに座って、ジッと眺めていた。



あたしのためにこんなに集まってくれたんだ……って思うと、なんだか来てくれたみんなに悪い気がした。



はぁ……なんでこうなったんだろう。



もし妊娠なんかしてなければ……今頃、みんなと楽しく話してたのに……なんでこうなったんだろう。



あたしの頭の中は、みんなに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。



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