【完】イケメン生徒会長は俺様!?
美綺と一緒に住み始めてから、この家は変わった



それまで物静かだったこの家が……美綺が来てからガラッと変わったんだ



美綺が来てから、笑顔が増えた。



美綺が来るまでは笑顔なんか全然なくて、普通に落ち着いた生活を送っていたんだ。



そこには笑顔なんてもの、どこにもなかった。



ただ普通の生活を送っていた。



だけど、美綺がこの家に来てから笑顔が増えるようになった。



それまで落ち着いていた雰囲気も……美綺が来てから明るくなった。



そして気付いたらいつの間にか、美綺が側に居るのが当たり前になっていた。



この家が変われたのも、全部美綺のおかげなんだ



だけど、美綺が居ないこの家の雰囲気は……あの頃のように静まり返っていた。



あの頃のように、物静かだった。



そしてみんなも……口には出さないけど、美綺を心配してるんだ。



だけど、今は美綺が元気な子どもを産むことだけを考えるしかない。



そして気付いたら俺たちは、高校3年生へと進級していた。



なんだかんだ言って、この一年はほんとにあっという間だった気がする。



そして、美綺の妊娠を知った日からもうすぐ10ヵ月になる。



美綺はもうすぐ母親になる。



そして俺も、もうすぐ父親になる。



でも産まれてくる子どもは……俺にとって初めての"家族"だ。



両親が居ない俺は、ずっと一人だった。



メイドや使用人は居ても、結局俺の身内でもなんでもない。



……赤の他人だ。



両親が居て羨ましかったけど、俺にはメイドたちが居るから寂しくない。



そう思っていたけど……よく考えてみると、やっぱりメイドたちは俺の身内じゃない。



ただの赤の他人だ。



だから"家族"なんかじゃない。



だけど、両親が居ない寂しさからメイドたちを勝手に両親だと思い込んでいたこともあった。



父親の顔も母親の顔も全く覚えてない。



それ所か、一度も父さんと母さんが眠っているお墓に行ったことすらない


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