【完】イケメン生徒会長は俺様!?
ありがとう、美綺。



「これからも、美綺のことよろしくお願いしますね…」



美綺の母親はそう言うと、頭を下げた。



「いえ……頭上げてください」



「本当に、ありがとう」



そう言った瞬間―――…



美綺の母親の目から、一筋の涙が流れた。



その涙は……とてもキレイだった。



俺はその時、誰かのために泣けるのってすごいことなんだなと思った。



純粋に……素直にそう思った。



「ごめんなさいね……こんな時にこんな話して」



「いえ…」



それからずっと、無言で子どもが産まれるのを待っていた。



どれくらい経っただろう…。



俺が病院に着いたのは、大体11時頃。



今の時間はちょうど1時



俺たちはその間、ずっと無言だった。



俺は待ってる間、ずっと美綺と子どものことを考えていた。



無事に産まれて欲しい。



……そう願いながら。



そしてそれからしばらく経った時―――…



「オギャーッ!!オギャーッ!!」



分娩室の方から子どもの泣き声が聞こえてきた。



俺たちは同時に立ち上がった。



「やったわ!!」



美綺の母親がそう呟いた



じゃあやっぱり―――…



「雨宮君!産まれたわ」



美綺の母親が満面の笑みを浮かべてそう言った。



やっと……俺たちの子どもが産まれたんだ。



そして、分娩室から女の人が出てきた。



「先生…」



美綺の母親は女の人に近寄った。



すると、女の人は笑顔でこう言った。



「おめでとうございます。娘さんよく頑張りましたね!元気な女の子ですよ」



やっと、やっと子どもに逢えるんだな…。



俺も自然と笑顔が零れた



「あっ、子どもの父親ですか?」



いきなり先生が話し掛けてきた。



「はい」



「おめでとうございます。元気な女の子が産まれましたよ」



「よかった…」


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