【完】イケメン生徒会長は俺様!?
「疲れたでしょ?」



先生が汗を拭いながら言った。



「はい……結構疲れました」



「でも、よく頑張ったわね」



先生はそう言って優しい笑顔を浮かべた。



「はぁ……ありがとう、ございます」



「今産まれたばかりだから、どこも異常がないかどうか調べるから待っててね?」



「あっ、はい…」



「さっ、取り敢えず病室戻りましょうか」



「はい」



「ゆっくり休んでていいからね」



「はい」



そしてあたしは、分娩室を出た。



分娩室を出ると、お母さんと流二が居た。



流二も……来てくれたんだ。



流二は心配そうにあたしを見つめていた。



それからすぐに、流二は学校に電話を掛けに行った。



あたしはお母さんと一緒に病室に戻った。



病室に戻ると、疲れていたせいかあたしはすぐに眠りに落ちていった。



―――――…



眠りから目を覚ますと、側には流二が居た。



お母さんは帰ったのか、どこにも居なかった。



「おっ、起きたか?」



流二はあたしの顔を覗き込み言った。



「……うん」



あたしはニコッと笑った



……ほんとに疲れた。もう痛くて痛くて堪らなくて、ほんとに死ぬかと思ったくらいだし。



"出産"という出来事を体験して、出産するのがこんなに大変だったんだなって改めて実感した。



最初は産むのが怖くて、不安だらけだった。



ちゃんと産まれるかな?ってずっと思っていた。



だけど、そんなあたしに勇気をくれたのはお母さんだった。



お母さんは救急車の中で、陣痛に耐えるあたしを励ましてくれた。



「大丈夫。大丈夫だからね」



「お母さんが付いてる」



そう言いながら……病室に着くまでの時間、ずっとあたしの手を握り締めてくれた。



そのおかげで少し不安はなくなったけど……やっぱり怖かった。



初めて出産するあたしは、もう不安で不安で仕方なかった。



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