【完】イケメン生徒会長は俺様!?
「お坊ちゃま……泣かないでください」



「……うん。ごめん」



俺は涙を拭った。



俺が泣いたら、白木はお別れしにくくなるもんな…。



泣いちゃダメだ。



「お坊ちゃま、私も寂しいです」



「うん…」



「だけど、お坊ちゃまのお世話が出来て本当によかったです」



白木はそう言ってフワリと笑った。



「……うん」



俺も……白木が居てくれたおかげで、ここでの生活がすごく楽しかった。



ありがとう、白木。



白木のこと、絶対忘れないからな。



「本当に……ありがとうございました」



「うん……俺こそありがとう」



「はい」



白木はニコッと笑った。



「よし……最後の仕事、よろしくな」



俺は笑顔で言った。



「はい」



そしてそのまま学校へと向かった。



白木の最後の仕事は、もうすぐ終わる。



学校に着けば、白木とはもう逢えなくなる。



これが……本当に最後だ



長かったようで短かった高校生活も、いつも側に居てくれた白木と逢えるのも……今日で本当に最後だ。



学校へ向かう車の中で、何度も何度も色んなことを思った。



「お坊ちゃま……着きました」



「ああ…」



俺は白木に視線を向けた



「お坊ちゃま、遅刻してしまいますよ」



「なぁ……まだ信じらんねーよ」



俺から白木から目を反らして言った。



「お坊ちゃま…」



「まだ信じらんねーよ。白木が居なくなるなんて…」



ずっと側に居てくれた人が居なくなるのがこんなに辛いことだったなんて、知らなかった。



こんなにも辛いなんて、夢にも思わなかった。



「お坊ちゃま…」



「本当に……居なくなっちまうんだな」



俺はそう言って唇を噛み締めた。



まだ……実感ねーや。



白木は今ここに居るのに…。



車から降りれば、その姿はもうない。



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