【完】イケメン生徒会長は俺様!?
「おはよー美綺」



学校に着くと、茉衣が笑顔で言った。



「あっ、おはよー茉衣」



あたしはそう言って満面の笑みを浮かべた。



「いよいよ卒業だね」



「うん」



「なんか……全然卒業って感じがしないね」



「うん……そうだね」



「なんか寂しくなるね…」



「うん」



「美綺は卒業したら主婦になるんだよね」



茉衣はそう言うと、あたしに視線を向けた。



「うん」



「そっか。頑張ってね」



「ありがと。茉衣は大学行くんだよね?」



「うん。啓悟と同じ経済学部」



茉衣はそう言うと、ニコッと笑った。



「へぇ、啓悟君と一緒なんだぁ」



「うん!」



「頑張ってね」



「ありがとう。美綺も頑張ってね」



「うん……頑張るよ。妻として、母親として」



あたしはそう言ってニコッと笑った。



「あっ、そっか。結婚するんだよね」



「うん。妻としてはまだまだだから、頑張らなくちゃ」



「でも、母親としてはすごいと思うよ」



「え?……そうかな?」



「うん。だって美綺はあたしから見たら、もう立派な母親だもん」



茉衣はそう言うと、フワリと笑った。



「ありがとう、茉衣」



「うん」



「でも、なんかそう言われると恥ずかしいなぁ」



「ほんとだよ。美綺はすっごく偉い」



「え?」



「高校生なのに子ども産んで、しかも育ててるんだもん」



茉衣はあたしに視線を向けて言った。



「茉衣…」



「まだやりたいことだってあったハズなのに、それを我慢して子ども産むことを決めたんだもん。……偉いと思う」



「……ありがとう」



「あたしだったら……きっと子どもは産めなかったと思うな」



「え?」



あたしは茉衣をジッと見据えた。



「きっと子どものことより、自分のやりたいことを優先してたと思う」



< 649 / 698 >

この作品をシェア

pagetop