【完】イケメン生徒会長は俺様!?
茉衣はそう言うと、あたしをジッと見据えた。



「……そっか」



「うん……だから美綺は偉いよ」



茉衣はそう言ってフワリと笑った。



「ありがとう」



「うん」



でも、最初は産もうか産まないか迷った。



妊娠したことが分かった時、すごく不安だった。



一瞬でも、産みたくないって考えが持ったのもまた事実。



だけど……流二が産んで欲しいって言ってくれた時、初めて"産みたい"って心の底から思えたんだ



好きな人の子どもを産みたい。



……そう思ったんだ。



だからこうして、今幸せな家庭を築くことが出来た。



美紅を産んだことに、後悔なんてしてない。



確かに……まだ高校生だったからやりたいこともいっぱいあった。



やり残してることもあった。



だけどせっかく授かった命を、ムダにしたくなかった。



あの時、もう子どもは出来ないって言われて子どもが産めない体になったあたしは……子どもを産むことを諦めてた。



もう出来ないんだって、完全に諦めてた。



本当は……好きな人の子どもを産める日が来るんじゃないかって、あの時から何度も何度も思っていた。



でもそれはムダなことだって分かったから、諦めることにしたんだ。



だけど親には知られたくなくて、ずっと言えないままだった。



誰かに相談しようとも思った。



でも……妊娠したせいで子どもが出来ない体になったなんて誰にも言えなかった。



ましてや、あたしは当時中学生。



そんなこと言ったら、軽蔑されることくらい分かってた。



だから、余計に辛かった



誰かに相談したくても出来なくて、親にも言えなくて。



辛くて辛くて仕方なかった。



だから結局、どうすることも出来なかったあたしには……かなりのストレスだった。



ほんとは、誰かに言えれば少しは楽になれたのかもしれない。



けど、怖くてそんなこと言えなかった。



とてもじゃないけど、言える訳なかった。



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