【完】イケメン生徒会長は俺様!?
「父さん、母さん……俺を産んでくれてありがとう。……俺、父さんたちのおかげでこんなに幸せになれたよ。本当にありがとう」



「…………」



「……また来るな」



俺たちはそう言うと、その場を立ち去った。



「流二……大丈夫?」



その場から立ち去った後、美綺は心配そうに俺を見つめて言った。



「……ああ」



「よく……頑張ったね」



美綺は車の中で小さく呟いた。



「え?」



俺は美綺に視線を向けた



「……辛かったよね」



「…………」



「辛い中、ほんとによく頑張ったよ」



美綺はそう言うと、俺をギュッと抱き締めた。



「……ごめん。父さん、母さん」



美綺の腕の中で小さく呟いた。



「泣いてもいいよ」



美綺はそう言って俺の頭を撫でた。



「……ああ」



俺はその日……美綺の腕の中で声を押し殺して泣いた。



そんな俺を、美綺はなにも言わずにずっと抱き締めていてくれた。



俺を包み込むように……優しく。



美綺の温もりが、俺に安心感を与えてくれた。



"大丈夫だよ"って言いながら……。



俺の目からは……止まることなく涙が溢れ出した



今までにないくらいたくさん泣いた。



この時初めて、父さんと母さんに逢いたい。……そう思った。



分かってるのに、涙が止まらなかった。



こんなに泣いたのは、産まれて初めてだった。



父さんと母さんのことを思って泣くなんて、今まで一度もなかった。



だから、すごく申し訳ない気持ちでいっぱいだった。



だけど時々思う。



もし父さんたちが生きていたら、今の俺はどうしてんだろうって。



そんなこと考えてても、父さんたちはもう居ない



だけど、父さんたちに逢いたい。



……そう思った。



もし願いが一つだけ叶うのなら……俺は「父さんと母さんに逢いたい」と願うだろう。



……きっと。



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