【完】イケメン生徒会長は俺様！？

流二はあの日……あたしの腕の中で声を押し殺して泣いていた。



"父さん母さん、ごめん"って何度も呟きながら泣いていた。



流二はこの日、初めて両親のことを思って泣いた



今まで親孝行出来なかった分、きっと不安になったんだ。



流二は……あたしに不安そうに言った。



「俺、ちゃんと親孝行出来てるかな？」って。



その時のあたしは曖昧な答えしか返せなかったけど、きっと親孝行出来てるよって心の底から思う



流二の涙は、とてもキレーだった。



すごくキレーだった。



その涙を見た時あたしは、人の涙はこんなにキレーだったんだって改めて知った。



流二を見てたら、あたしも自然と涙が出ていた。



流二……本当はすごく弱いのかもしれない。



あたしよりもずっと、弱いのかもしれない。



すごく弱くて、強がっていただけなのかもしれない。



なんであたし、気付かなかったんだろう……。



流二のこと、ちゃんと見てなかった。



流二の気持ち……ちゃんと分かってあげられなかった。



あたしはサイテーだ。



流二のこと分かってるつもりでいた。



……でも実際は、なにも分かってなかった。



流二はずっと辛かったんだよね。



ずっと一人で悩んでたんだよね。



なんで……気付いてあげられなかったんだろう。



「ごめんね、流二」



隣りでスヤスヤと眠っている流二に……小さくそう呟いた。



「……もう一人じゃないよ」



そう呟いて……流二をそっと抱き締めた。



包み込むように、優しく



「父さん、母さん……ごめん」



流二は寝ながらそう呟いた。



……流二、ごめんね。流二の気持ち分かってあげられなくて。



でも流二は、もう一人なんかじゃない。



流二にはあたしたちが居るから。



もう辛い目に合わせたりしないから安心して。



あたしがずっと流二の側に居るから。



だからもっと甘えてもいいよ。