distortion
一緒に飯も食いに行くし(勿論ワリカンだ!)、買い物も付き合ったし、奴が1人暮らしをしている渋谷のはずれにある風呂なしアパートにも何回か泊まりに行った事もある。




かっこいい言い方すると、俺も何かに打ち込んでみたかったのかな?って。



だからこそ奴には頑張って欲しいんだよ。


危険な賭けだけどね。




「なあなあ、連絡終わったら何食う?」

「あ?」


「だからぁ、夕飯」

「覚えるまで絶食」

また目を離すとこれである。
コイツは生まれつき集中力がないんだろうか。

朝飯に牛丼2杯も食うからだろうか?


「なあなあ、まーくーん」


武蔵はただでさえデカくてうざい体をすりすりと押し付けてくる。

おまけに甘えたような目で無言でこっちを見られたらたまったもんじゃない。


「ったく、何か食う?」


「食う!俺ピザと、えっと…」


「早くしろっ!」


駄目だな…今日は。 まあ、あんまり寝てなかったから今日はいいけどね。

俺は奴の注文を内線で言ってソファーに横たわった。


(なんか目がしぱしぱする)


一応、こっちも本業は学生なんで勉強がある。
昨日徹夜で地理学のレポートを徹夜で書いたばかりだ。

だからこのまま食って、カラオケでもいいやなんて考えてるダメダメな自分。


(あれ?なんか眠くなってきたし…)




「よしっ!練習するぞっ!」


(今頃本気になられても……)


「う…ん…武蔵…ん…」


「あれっ?おい、ごっちゃん?真輝?」



そこで記憶がぷつっと飛んだ。






俺は夢をあまり見ない。

だからいつも深い眠りなんだけど…。

< 12 / 49 >

この作品をシェア

pagetop