distortion

ママとパパ

武蔵とひょんなことからデュオを組む事になってしまった。

ホント、人生どうなるかわからない。





「おはよう」


「あら、まーくんおはよう」


「おはよ、ママ」


俺は20歳を過ぎても小さい頃からの習慣でママと呼ぶ。

ママは50歳を過ぎているのにいつも綺麗だ。


ずっと昔からママにひっついてばかりだった。

小学校からよく外見のせいでイジメを受けていた。

それは中学校も高校に入ってからも続いた。

だから俺は殆ど登校拒否か保健室登校だった。


逃げ帰る俺の事をママはいつも叱らずにそっと守ってくれる。
俺も俺でそれについつい甘えてしまっていた。


未だに人と上手く関わる事が出来ないのはそのせいもある。
自意識過剰かもしれないが、相手にどう思われてんのかすごい気になるのだ。

会話する前も最初はどうやって切り出そうか、何て挨拶したらいいんだ……とか段取りを考えないと会話一つままならない。



怖いんだと思う。



嫌われるのが。





「真輝」


「あ、おはようパパ」


「ちょっと話あるんだけど」


「はい……」



嫌だなぁ。
凄く機嫌が悪そう。
パパは芸能の仕事に関わる俺を良く思ってない。

パパは公務員だ。
市役所の地域課にいる。
昔は映画俳優なんかのスカウトが耐えなかったらしいと言われる容姿。

ママ同様50代だが、若々しく見える。


普段は優しいパパだけど、シビアな所はすっごくシビアだ。


「真輝、ママから聞いたけど……」


「はい。あの……音楽やる事だよね」


「そうだけど。よく考えたのか?」


「うん……」


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