distortion
余計な物は一切置かない主義なのか綺麗に整頓された部屋。

ピンクが好きな色らしく、ピンクの小物が殺風景な部屋を和らげていた。



俺達はベッドの上で愛しあっている最中で………。


まーくんの胸に顔をうずめると、ボディソープのいい香りがした。


福ちゃんと違うにおい。
福ちゃんは女の子が良くつけるみたいな香水のにおいがする。


それはそれで大好きだ。


「ん……好き…」


甘えるようにまーくんに言う。


「俺も。薫ちゃんが好きだよ」


「もっと言って」


「毎日抱いてやりたい位に好きだよ」



顔を上げてキスをせがむ。

まーくんは恥ずかしいのか、ぶっきらぼうに乱暴にキスをする。



「んっ…ぁ……」


キスだけで鳥肌が立ってしまう。
俺は変態なのだろうか。


福ちゃんはいつも優しく扱ってくれる。

キスもまーくんなんかより上手い。

でも、それだけじゃ物足りない。


そう、俺のもう一つの部分が叫ぶんだ。

だから流されていく。

乱暴にかき抱くまーくんの体に………


全てを預けてしまう。




今だけは何も考えられずに。







ごめんね福ちゃん。
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