distortion
「俺の事はほっといてって言った筈でしょ?」


「放置しとけと言ったって限界がある。お前はいつまでこんな生活を続けるつもりなんだ?」


「いつまでって…」


「俺だって意地悪で言ってるんじゃない。お前が不安定な仕事じゃなければほっておくさ。だが、現実はどうだ?もう何年だ?この先、食いっぱぐれる保証は絶対ないって言えるのか?」


絶対ない!って言えなかった。
今の俺では薫ちゃん1人養えない。

アイツにだって負けてるよ。



「もう…いいよっ!」


次に兄貴の言葉が何て言ったか聞かないうちに俺は家をそのまま飛び出した。


最低だ!

やっぱり俺には家の事がいつまでもついて回るの?

普通に暮らして自分の道を進みたかったよ。


生まれてこない方が良かった?

そしたら誰も不快な思いをしなくて済むじゃない。




もう何も考えられないよ…。


薫ちゃん……薫ちゃん…。


お願い、助けて。

俺はどうしたら良いの?







まーくんのアパートにいた時に福ちゃんからメールが来た。

メールにはただ一言、「ごめんね。今までありがとう」って。


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