distortion
余りの苦しみ様にショックを受け俺はその場に立ちすくんでいた。
「まーくん?大丈夫!ねぇ、息吸って!!」
「がぁ…っ…はぁはぁ」
ビニール袋を持ってきて息を吸わせたが上手くいかない。背中でめいいっぱい息を吸うまーくんの顔は涙や汗で沢山だ。
俺は何を思ったのかまーくんを抱き寄せて、自分の息を思い切りまーくんの口内に押し込んだ。
少しずつまーくんの強張っていた身体が楽になっていくのを抱き寄せてる身体から感じ取られた。
「落ち着いた?」
「うん」
「ほら、少し横になりなよ。」
「ん…」
「お水持ってきてあげるから」
冷蔵庫を開けるとエビアンがあったのでそれを飲ませてあげる。
「どう?飲める」
「ん。ありがとう…ごめんな、びっくりしたろ?」
ううん。
まーくんに何もなくて良かったよ。
俺こそごめんね?
まーくんだって不安なんだよね。
「ううん。俺、ちゃんと今日はいるから…まーくんが明日仕事行くまで一緒にいるから」
「本当に?」
さっきまで怖い顔だったまーくんの顔はいつもの子供みたいな笑顔に戻っていた。
まーくんの頼りなさそうな腕がベッドから伸ばされてる。
俺はその伸ばされた腕をそっと握って安心させた。
「大丈夫だよ。ちゃんといるから、少し休みなよ」
「じゃあ一緒に入って?」
まーくんはベッドの端をポンポンと叩く。
「ん。じゃあ寝付くまで一緒に」
「おいで」
ベッドの中に入って一回り小さいまーくんの身体を抱きしめた。
暫くの間まーくんも俺をすがるように抱きついていたけど安心したのかそのまま眠ってしまった。
そんなに俺を必要としてくれるの?
何だかすごく嬉しい感情が広がった。
今はそんな時じゃないのに……。